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Channel: フルートおじさんの八ヶ岳日記
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富士の絶景を望む大菩薩嶺登山

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今日は、八ヶ岳清里の雑木林の向こうに、見事な青空が広がっている。昨日の蓼科山登山の雪辱を期すべく、今日は大菩薩岳へ登ることになった。中央道勝沼インターで降りて、塩山から青梅街道を走る。登山口上日川峠は既に車で一杯になっている。小型観光バスも来ている。「日本百名山」の人気はさすがだ。

大菩薩嶺と言えば、中里介山の「大菩薩峠」でつとに有名になった。深田久弥の「日本百名山」によると、

…「大菩薩峠」では、次のような書き出しで始まっている。
「大菩薩峠は江戸を西にさる30里、甲州裏街道が甲斐の国東山梨萩原村に入って、その最も高く最も険しきところ、上下8里にまたがる難所がそれです」
…「むかし甲州表街道を何かの理由で憚った旅人は、この裏街道を採用した」…

…大菩薩峠の名が文学に現れたのは中里介山より遙か以前に樋口一葉が「ゆく雲」で「我が養家は大藤村中萩原とて見渡す限りは天目山、大菩薩峠の山々峰々垣を作りて」とある…

上日川から30分ほど登ると山ブドウが大きく育っている「福ちゃん荘」に着いた。そこから唐松尾根を登り1時間少しで雷岩に着いた。南アルプスの峰々が白く輝いている。

ごくうすく靄がかかった雲ひとつない青空を背景に眼前に富士山が見える。その均整の取れた姿が実に美しい。手前には、青い大菩薩ダム湖が彩りを添えている。

雷岩から10分で、標高2057メートルの大菩薩嶺三角点に到着した。

そこからは、見晴らしのよいカヤトの山道を下る。

しばらく行くと大菩薩峠に着いた。「介山荘」という山小屋がある。小説「大菩薩峠」では主人公の机竜之介がこの峠で、老巡礼を斬殺することから始まる。小説の筋に合わせて、首を切られた僧の像が置かれていた。

1時間ほど下ると「福ちゃん荘」に着いた。そこで800円のカレーライスを食べる。店のおばさんに「福ちゃん荘の名前の由来」を聞くと、「曾祖父」の「福太郎」さんが茶店を始めたとのことだった。

そこから30分下って登り口上日川峠に着いた。今日の登山は、昨日の蓼科山登山撤退の無念さを晴らすのに十分すぎるほどの素晴らしい景観に恵まれた。汗もかかず、終始清々しかった。

下山後、一行はこれから大阪まで帰らねばならないのに、長坂インターで下りて、わざわざ私を家まで送ってくれた。妻ともども本当に楽しい春の3日間だった。


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