4時30分に起床。夜中に漂っていた霧がはれて今日もいい天気になりそうだ。日本海に鳥海山の影を落とす「影鳥海」が見れるかどうか、参籠所前の広場で、日の出をひたすら待つ。東の方から鳥海山に朝陽が射し始めると、期せずして「おー」という歓声が上がる。日本海にうっすらと鳥海山の影が見え始めてきた。日本海付近の霧があるため、あまり鮮明ではないものの、確かに巨大な鳥海山の山影が日本海に現れたのだ。
あたりに朝陽が射してくると、「影鳥海」は次第に小さくなっていった。
自然が織りなす景色の楽しんだ後5時40分に朝食を食べる。参籠所の朝食は質素とは言え、生卵が付いていた。
大物忌神社を6時20分に出発する。下山は参籠所下の谷筋をひたすら下る。8月のこの時期になってもまだ、かなりの雪渓がのこっている。
振りかえると、朝陽が当たって雪渓から霧が立ち上がっている向こうに、たおやかでありながら隆々とした岩を持つ鳥海山の峰々が浮かび上がっていた。
10時過ぎに出発した鉾立ビジターセンターに到着した。あたりは一面のガスがかかってきて、天気は下り模様だ。
直ぐに、月山を目指して車を走らせる。山形自動車道を通って月山リフト乗り場に着く前から雨がぽつぽつ降り出してきた。リフト乗り場で、下山してきて登山客に聞くと「雷が鳴りだしたので登山を中止して引き返してきた」とのこと。私たちもどうするか、時間的にもかなりタイトになってしまったので、今回の月山登山は中止しようと言うことになった。
ドライブインで鴨蕎麦を食べる。温かい鴨の出汁がなかなかの味だった。昼食を食べていると、山形県西川町に大雨洪水警報が出された。やはり山に登らなかった方が良かったようだ。
その代わりにと、芭蕉で有名な立石寺(山寺)に参ることにする。
本堂を登り始めたころに猛烈な雨になったが、しばらくするとそれも止んだ。五大堂〜奥の院へは階段のかなりきつい登りだった。
芭蕉の「静かさや 岩に滲みいる蝉の声」という句碑と芭蕉の像が建立されていた。往時とは違って、今は観光客の声がかまびすしく、静かさは微塵もない。
女性に人気のある寺なのか、雨にも関わらず、女性参拝者が多かった。
今日は蔵王温泉に泊まる。斎藤茂吉のゆかりの温泉で、あまり大きくはない宿だが、白緑に濁った温泉は山登りの疲れを癒してくれた。温泉旅館の料理はさすがに違う。