2012年の1月1日は穏やかな朝を迎えた。先ずは朝刊を取りに行く。毎年のことながら分厚い特集が挟まれている。広告だけでも半分ほどある。
面白かったのは。ウォール街占拠仕掛け人カレー・ラースンの記事。「ウォール街占拠」を呼びかけたが、彼自身は行動に参加していないらしい。社会の1%が富を独占し、人々は「私たちは99%」と唱え占拠している。次は、90歳になるドナルド・キーンの「叙事詩となって蘇る」。実に不思議な発見だと言って、日本文学の中に災害を取り上げたのは方丈記しかないということに驚いていた。もう1点、80歳になる高倉健が、6年ぶりに「あなたへ」という映画に出る。「自分が同じ状況になったら『こう言いたい』と僕自身が思わなければセリフを言えないのです」。今年の秋、放映される予定だ。
静かな朝だが、サイモン・ラトル指揮ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲第5番ハ短調をそれなりの音量で聴いた。小さい音は極めて小さく、大きい音は大音響が鳴った。そのダイナミズムが気持ちいい。おまけに、普通なら、かき消されてしまうフルートがよく鳴り響いているのが嬉しい。曲のドラマティックな盛り上がりに、力が湧いてきた。
昼遅く、家族揃ったので、「おめでとうございます」と挨拶を交わし、おせち料理を食べる。和洋中の三段重ねだ。奇麗に盛り付けているおせち料理は、見た目以上にしっかりと味付けされていて美味しかった。
いつもの年なら、熱燗をちびちび飲みながら、料理をつまむのだが、今年は、お酒抜きだ。昨年12月から、食後、フルートを練習したいので、家での晩酌を止めることにしてきた。その分、雑煮やご飯を食べるので、直ぐにお腹が大きくなっていけない。禁酒と言うことではないので、他人が集まるときには飲むつもりでいるが、それ以外のだらだら飲みは、控えるようにしていきたい。といっても、結構の飲み会はセットされているので、効果のほどはよくわからない。
アルコールを抜いてみると、身体が軽く、もちろん、頭もすっきりして本を読むのにはいい。別に、我慢しているという感覚は無いので、「アル中」ではないのが分かった。今年はどんな年になるのだろうか。いや、自分自身はどんな年にしたいと思っているのか、それを自問してみる。
退職後の夢だった海外旅行はどうか。まだまだ「自然豊かな」アダージョの森、もう少しなんとか形をつけねばならないだろう。DIYへの着手も課題だ。フルートももう少し力量を上げたいし、ドュエットをどんどんやってみたい。地域の人々との交流ももう少し、意味のあることができないだろうか、等々あれこれ考える。