話を聞いたときは俄かには信じられなかった。
海外旅行へ出かける、あるいは1か月ほど海外で過ごす、というのはよくある話である。
ところが、今回の話はそんなレベルではない。1年かけて、文字通り世界一周するという旅だ。
しかも、女性の一人旅だというから恐れ入る。
しかも、その方は、私が現役の時にフルートを習っていた先生なのだ。
兎も角も、ゆっくり話を聞かせてもらおうと、二人のフルート生徒で食事会をもった。
場所は、堂島アバンザ近くの「鳥焼き さじ」
元阪神タイガース「桟原投手」の店。
そういえば、この間毎年、一人で海外旅行をしていたな、そうして経験を蓄えてきていたのだ。
つい先日は、和歌山の冬の海に潜っていた。カリブ海でスキューバダイビングをするそうだ。
あるいは、今年の夏には、富士山にも登ってきた。これは、アフリカのキリマンジャロに登るための訓練という。
鶏肉のお刺身を食べ乍ら話を聞く
旅程は日本を出て香港へ行く。それから東南アジア、中東、アフリカ、イギリス、ヨーロッパ、南米、中米、北米と回り、日本に戻ってくるとのこと。
1年16フライトのチケットを買ったそうだ。カメラは2台、パソコンと3TBのハードディスクで旅を記録していくという。
串に刺された焼き鳥ではなく、焼肉のように鶏肉を焼いて食べる。
ユースホステルやドーミトリーを使って、旅の先々で各国の人たちと交流を深めるという。
旅先にはフルート持参し、ヨーロッパの街角で、あるいはケニアのサバンナで、ペルーのマチュピチュでアルゼンチンのパンパスでフルートを吹くのだろうか。
一番気がかりだったのは、ご両親の了解を取り付けること。ところが、お父さんはあっさりと、許してくださったそう だ。胸の内にどんな思いがあろうと、わが子がやりたいと思ったことをやり遂げさせてやりたいというご両親の思いや立派だ。
見送る私たちが言えることは、ただただ、1年後、日に焼けた元気な彼女の姿と再会したいということだけであった。